そうだ病院へ行こう。。

 早いもので昨年、脊柱管狭窄症の手術をして1年が経つ。去年の今頃は集中治療室を出て一般病棟で手術により熱くなった腰を横たえていた。第四、第五脊椎を切り開いて神経間際の骨を削ったのだから熱くもなる。
 手術室の前には手術を待つ人々が大勢いる。数に驚く。妻と息子二人が心配そうに人々に紛れて私を窺っている。名前を呼ばれて、ジャ行ってくるよ、と片手をあげ、すっと手術室のドアに向かった瞬間、こんなに心配してくれる家族がいるなら死んでもいいや、と逆に開き直った。
 冷気を含んだ手術室は精密機械の並んだ工場のように広かった。どうやらここでは複数の手術が行われているようだと思いながら術台まで歩いて行く。人の解体工場のようで想像していた手術室とは全く違った。 
 手術台で麻酔により意識が遠のくとき、アア死ぬ時もこんな感じかなと思った。ならば死ぬのもそれほど悪くはない。意識のない間はされるがまま、いったい誰の身体か。自分に意識はなくとも誰かが自分の体を見ている。 
 手術中,暗闇にオレンジ色の光がカッとが閃いた。
 次に気が付いたときには3人の医師が微笑みながら私の名前を呼んでいた。「ありがとうございました。」と答えて再び意識が途切れた。術後に夢を見ましたかと聞かれたが、見ませんでしたと答える。
 さて経過観察で今日は最後の再診となるはず。そうか今日は病院へ行こう。

合気道 小山田道場